インドネシア・東ヌサトゥンガラ州アロール島の伝統イカット製サルン（腰巻・SR-8)
インドネシア文化宮(GBI)は、2002年4-5月、東ヌサトゥンガラ州アロール県政府と共催で、県都カラバヒで『アロール県工芸品博覧会』を開催しました。アロール島は、イカット（絣織り）で世界的に知られる小スンダ列島の中でも、国際的な観光リゾート地のバリ島に近い位置にあるフローレス島やスンバワ島、そしてスンバ島などと比べて、これまでその素晴らしさが見落とされてきました。やはり、小スンダ列島の“東の果て”という地理的条件がそうさせたのでしょう。しかしながら、その地理的条件がために、“観光化”されない伝統イカット製作がアロール島で守られてきたことも事実です。今や、ジャワ島生まれでありながら“フローレス島産”、“スンバ島産”と称する、いわゆるニセモノのイカットが、バリばかりか首都ジャカルタで売られていることは公然の秘密です。それらの多くが紡績糸と化学染料を使用しています。
ここに紹介しますアロール県のテルナテ島で織られたイカットは、ご多分に漏れず、手紡ぎ糸ではなくて紡績糸を使用していますが、可能な限り（一部化学染料も使っています）自然染料で染色した糸を使っています。特に、青や黒は、ニラ(Nila＝インド藍)から抽出し、黄色はカユ・クニン（黄木）、茶色はアカール・ムンクドゥ(Akar Megkudu)の根から、薄い赤色は古いマンゴの木の皮から煮出したものです。
写真のサルン（腰巻）は筒型で、サイズは、77 X 128cm。茶と黒をベースに賑やかな縞模様がエレガントです。

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