このカバーの希少性は、明治お雇い外国人のカバーであることである。

日本の外国向け郵便は1877年6月1日万国郵便連合に加盟するまで在日外国郵便局経由でなければ郵便は出せなかった。

その状況下このカバーは1876年4月25日付けフランス横浜郵便局（局番５１１８）の差立証示印でフランス向けに差立てられた数少ないカバーである。【差立証示印】YOKOHAMA 25 APRIL 76    【経由証示印】 PAQ-ANG-BRIND17JUN(イタリア南部都市ブリンディシュ )  【経由証示印】PARIS 18JUNIN76 【到着証示印】JARZE 18JUIN 76  MAINE et LOIRE  

このカバーは【実逓便真正証明書】フランス EXPERTISE DE TIMBRES-POSTEの証明書付き。

 差出人Angot,Auguste Rene（アンゴー）は明治政府に1872年第二次フランス陸軍教師団の一員の馬医として招かれ来日した。1874年4月から1880年6月迄陸軍省に雇用された。カバーの宛先はフランスのMaine-et-Loireの父親に宛てたたもの。

Angot,Auguste Reneに関しては松本純一著『横浜にあったフランスの郵便局』及び『The French Post Office in Yokohama』に記述されている。 澤 護著 『お雇いフランス人の研究』によると1880年5月2日 アンゴーを含めたフランス陸軍教師団が明治天皇の謁見受けたと記されている。アンゴーは功績により勲五等双光旭日章及び後年 勲四等瑞宝章が授与されている。1880年8月20日に帰国した。