絶版希少図録本 鍋島展 我が国唯一の官窯鍋島 その出現から終焉まで 写真解説138点 初期鍋島 盛期鍋島 高台 見込 陶片

伊万里市教育委員会　発行

1996年

114ページ

29.5ｘ21ｘ1cm

カラー・モノクロ（作品写真図版はフルカラー）

※絶版

我が国唯一の官窯でつくられた、鍋島様式の色絵磁器全作品138点の見込み・高台などのカラー写真図版を、初期鍋島からそ前期鍋島、盛期鍋島～終焉までを追って、出土陶片の写真図版も網羅して詳細に解説した、展覧会会場限定公式図録本。

初期～末期まで全作品の画像を器別に整理分類し、年代順に並べてわかりやすく掲載した年表、

論考テキストなど大変内容の充実した研究書ともいえる一冊。

年代特定や真贋鑑定などにも役立つ、鍋島焼コレクター、古伊万里、有田焼、陶芸、骨董品愛好家必携の希少図録本です。

【主催者挨拶より】

　伊万里市は世界・炎の博覧会のサテライト会場として、種々の企画をいたしておりますが、中でも「鍋島展」はメインイベントとして位置づけたもので、江戸時代、鍋島藩窯が置かれた大川内山で『我が国唯一の官窯　鍋島　その出現から終焉まで』と題して展覧会を催すことができますことを心から嬉しく思います。

　本市は「古伊万里」の積み出し港として栄えた歴史を有し、アジアとヨーロッパとを結ぶセラミックロードの起点として、遠くヨーロッパにもその名が知られており、市民にとっての大きな誇りであります。

　このたび、鍋島展が発祥の地において、いわゆる里帰り展として開催されることの意義は大きく、広く市内外の皆様に、世界の至宝「鍋島」の芸術性を鑑賞していただくことは、市民にとっての喜びであり、新たな誇りになることと信じます。

【目次】

ごあいさつ

図版（カラー写真図版）

東京大学医学部附属病院病棟地点出土品

東京都新宿区内藤町遺跡・三栄町遺跡出土品

長崎市万才町遺跡出土品

用語解説

作品解説

我が国唯一の官窯・鍋島　　工藤吉郎　鍋島の創成と展開/鍋島制作時期による器形の変化/染付技法、葉脈の描き方、墨弾き技法　ほか

「鍋島」の献上と贈進について　　前山博　大河内焼物方「手頭」における都合物とは何か/「鍋島」の将軍家への献上はどのように行われたか/製品と数量/慶応2年御進物所日記の記事より/八代藩主治茂のころ　ほか

日峯社下窯跡の出土品について　盛　峰雄　染付・青磁染付　白磁　ほか出土遺物の詳細な写真解説

出品目録

とじ込み年表　尺皿　七寸皿　五寸皿　変形皿　向付/香炉/壷/蓋物　（年代順に画像を並べてわかりやすく表示したもの）

凡例

・本図録は平成８年８月８日から９月22日までを会期として、世界・炎の博覧会・伊万里市推進委員会（主管　伊万里市教育委員会）が主催する特別企画「鍋島展　一我国唯一の官窯鍋島その出現から終焉まで」の展示図録である。

・本図録の、図版番号は陳列番号と一致する。ただし陳列の順序は図版番号順とは限らない。

・展示作品の名称は所蔵者の慣用によったが一部表記を統一した。

所蔵者は原則として博物館・美術館のみ記した。

法量の単位はすべてセンチメートルで表した。

図判中の●は尺皿　●は７寸皿　・は5、11皿　◆は変形皿　■は壷　▼は向付　Ｉは香炉　▲は蓋物を表した。

【作品解説　より　一部紹介】

染付鍋島藩窯絵図皿　10.9×50.5×25.5

　　1860年代　　佐賀県立博物館

　この作品は、見込み左下の関所、中心部の役宅や倉・細工場などの建物、ケヤキや大イチョウ（大川内山地区の清正公社に１株現存）、左端の登り窯など、明らかに実際の藩窯を写生したと思われる景色が染付で描かれている。

　十九世紀前半に肥前では染付地図皿がさかんに焼成されており、この作品はこうした影響を受けて鍋島藩窯で試作されたものと考えられている。その細密な描写は、江戸時代の鍋島藩窯の様子を知ることができる具体的な同時代資料として極めて貴重である。

　裏面には唐花文を三方に配し、高台には簡略化された櫛目文がほどこされている。

色絵唐花文皿　2.3×14.7×8.2

　　1650年代後半～1660年代前半

　平皿で、玉縁状になった縁は裏側がえぐれ薄いつくりになっている。また、縁の三ヵ所にひねりがくわえてある。見込みの外側にそって唐花を白抜きで散らし、その中を濃いめの染付線と濃い緑と濃い黄の色絵で埋めている。余白はすべて薄瑠璃釉を塗っている。薄瑠璃を使うものは初期の鍋島には比較的みられるが、盛期や後期には少ない。裏面は唐花文を三方に配し、低い高台には圈線がめぐる。九州陶磁文化館所蔵品に類品があることが知られている。日峯社下窯の発掘調査で類品の色絵生地の陶片が出土しているが裏文様や高台の高さと文様が異なっている。鍋島藩の規制がゆるやかな時期の作品である。

色絵唐花文皿　2.1×14.5×7.9cm

　　1650年代後半～1660年代前半　　九州陶磁文化館

　見込みを平坦につくり、口縁が垂直に立ち上がって鐔状に曲がった皿。口縁の二方から伸びてきたように唐花文が染付で描かれ、濃い色調の黄と緑の上絵具で彩られている。背景には薄瑠璃が塗られ、一部が裏側にまで流れている。ここでは赤い絵具が使われておらず、重厚な雰囲気を持つ。この作品と同じ染付文様を持つ陶片が、伊万里市大川内山の日峯社下窯から出土し、こうした製品が初期の鍋島の一つであることがわかった。

色絵唐花七宝文変形皿　3.4×16.9～14.0×9.6～7.7

　　1650年代後や～1660年代前半

　緩やかな波縁の変形皿である。器面の上下に直径7cm程

の円形の窓文をはみ出させ、七宝文で埋め尽くした奇抜な構図である。窓文の中には、赤線で縁収りし黄・緑の絵具で、彩加した唐花文が描かれている。筆遣いは豪放であるが、地文の七宝文は丹念な仕事振りを見せている。103の作品との技巧的な共通性が認められる、この作品が作られた頃には、精緻なな表現が可能である墨弾き技法があったにも関わらず、染付線で描いたのは何故なのか興味は尽きない。

同じ七宝文を描いた破片が日峯社下窯跡から出土している。裏文様は二方に菊唐草文を配し、他の二方には、唐草文を描いている。高台文様は鋸歯様の剣先文が巡っている。

色絵唐花文変形皿　3.4×16.9～14.0×9.6～7.7

　　1650～1670　　九州陶磁文化館

　波縁に丸窓を二つ組み合わせた斬新なデザインの変形皿。高台は角が丸い菱形の貼り付け高台である。

　丸窓には、赤い輪郭線に黄と緑を川いて唐花唐草文を上絵付しているが、鍋島では常套の手法である上絵の下に描く染付の輪郭線が施されていない。鍋島の典型的な様式が確立される以前の製品であることがうかがえる。丸窓の外は、独自の七宝文が地紋として染付で描かれているが、同様の陶片が日峯仕下窯で出土している。

色絵梅流水文皿　3.1×14.8×8.2

　　1650年代後半～1660年代前半

　鉤状の囗縁をもつ輪花形の皿。皿の周囲に沿って梅流水文が描かれている。流水をあらわす染付は、濃く深い色調で、いわゆる盛期の鍋島における一点の陰りもない明朗な作風とは異なっており、古格のある作品である。

　同様の陶片が日奉社下窯で出土しており、初期の鍋島の一つであることが明らかとなった。

ほか

【作品リストより　一部紹介】　寸法　所蔵者記載有り

染付鍋島藩窯絵図皿

色絵唐花文皿

色絵唐花文皿

色絵唐花七宝文変形皿

色絵唐花文変形皿

色絵梅流水文皿

色絵花菖蒲文三足付台鉢

色絵柘榴文皿

染付柘榴文皿

染付青磁宝尽文皿

染付青磁宝尽文皿

色絵秋草文皿

染付秋草文皿

色絵宝尽文皿

色絵松竹梅文皿

色絵蕎麦花畑文皿

染付岩山吹文皿

染付竹葉文皿

染付菊水仙雪輪文皿

染付楼閣山水文皿

青磁三足付台鉢

福寿繋文皿（色絵素地）

色絵枝垂桜八橋文皿

色絵糸巻文皿

色絵糸巻文皿

色絵鳳凰文皿

色絵更紗文皿

色絵輪繋文皿

色絵野菜文皿

色絵南天文皿

色絵岩牡丹文皿

色絵垣根柘榴文皿

色絵蒲公英文皿

色絵椿柴垣文皿

色絵朝顔柴垣文皿

染付青海波牡丹文皿

色絵牡丹流水文皿

色絵石楠花躑躅文皿

色絵椿文皿

色絵桜樹文皿

色絵宝珠文皿

色絵組紐文皿

色絵三瓢文皿

色絵草紙散文平皿

色絵牡丹文皿

色絵巻軸文皿

色絵唐花文皿

色絵唐草文皿

染付唐草文皿

色絵青海波扇面文皿

色絵霞秋草文皿

染付秋草文皿

染付菊唐草文皿

染付銀杏唐花文皿

染付水仙文皿

染付府花文皿

染付青磁雷文皿

染付青磁笹文皿

染付青磁紫陽花文皿

染付青磁青海波柘榴文皿

色絵青磁桃宝尽文皿

染付青磁青海波唐花文皿

染付青磁水車文皿

染付青磁雪輪文皿

青磁瑠璃縁皿

染付花海棠文皿

染付蒲公英文皿

染付桃文皿

染付銹地茄子文皿

染付青磁桜花文皿

色絵六稜花唐草文皿

色絵唐草文皿

色絵唐花文皿

色絵桜花文皿

色絵松竹梅丸文皿

色絵毘沙門亀甲桐文皿

色絵更紗文皿

色絵更紗文皿

色絵蟹牡丹文皿

色絵岩蔦文皿

色絵青海波水仙文皿

色絵鶺鴒文皿

色絵菊流水文皿

色絵松竹梅文皿

色絵鶏頭文皿

色絵薔薇文皿

色絵蔓薔薇文皿

色絵桜花能文皿

色絵桜御所車文皿

色絵棕梠葉文皿

染付棕梠葉文皿

青磁色絵紅葉文皿

染付青磁桃文皿

染付木瓜文皿

染付菊花文皿

染付芙蓉文皿

染付岩笹文皿

色絵万年青文皿

染付橘若松文皿

染付棠石文皿

染付梅樹文壷

色絵亀甲文変形皿

色絵蜘蛛巣紅葉文変形皿

色絵七宝輪花更紗文変形皿

色絵菊訳文変形皿

色絵桜花文変形皿

色絵薄瑠鵬唐花文菱形皿

染付鶺鴒文変形皿

染付錆釉梅樹文変形皿

染付蜘蛛巣文葉形皿

青磁大根文変形皿

染付三蓋松文変形皿

青磁三蓋松文変形皿

染付蟹牡丹文変形皿

染付秋草文稜花形皿

染付薔薇文変形皿

染付菊花文角皿

染付蔦文変形皿

色絵水草文向付

色絵梔子文向付

色絵唐花文四方向付

色絵福寿文向付

色絵砥草文向付

色絵唐花文向付

色絵梅流水文向付

色絵松文向付

染付鎖幾何学文向付

色絵三方唐花文向付

染付七宝花文向付

色絵藤花文向付

染付萩竹垣文向付

染付兜花文八角向付

染付青磁椿文向付

染付若松文向付

青磁向付

青磁色絵竹節形向付

染付更紗文向付

青磁白泥線彫桐文香炉

染付牡丹文蓋物

東京大学医学部附属病院病棟地点出上品

東京都新宿区内藤町遺跡出土品

束京都新宿区内藤町遺跡出土品

東京都新宿区三栄町遺跡出土品

長崎市万才町遺跡出土品

長崎市万才町遺跡出土品

（出品協力機関）

愛知県陶磁資料館

出光美術館

今右衛門古陶磁参考館

九州陶磁文化館

佐賀県立博物館

サントリー美術館

新宿歴史博物館

田中丸コレクション

東京大学文学部埋蔵文化財調査室

長崎市教育委員会

林原美術館

福岡市美術館

他　個人

★状態★

1996年の古い本です。

外観は通常保管によるスレ程度、カラー写真図版良好、目立った書込み・線引無し、

問題なくお読みいただけると思います。（見落としはご容赦ください）

＜絶版・入手困難本＞オークションにも滅多に出ない、貴重な一冊です。

古本・中古品にご理解のある方、この機会にぜひ宜しくお願いいたします。

★お取引について★