445x390mm。神前に祈る母子の後姿を描いた絵馬です。大胆なデフォルメのフォークアート的な絵馬と異なり日本画の伝統を思わせる端正な筆致で、立派に一つの絵画としてみることが出来ますが、祈る姿を後ろから捉えた描写にはどこか鬼気迫る寂しさが漂い、風雨に晒された状態と合わせて何か異様な感じを受けます。まるで東北のムカサリ絵馬のようですが、あるいは二人はもはやこの世の存在ではないのかもしれない、とも思わせます。腰の曲がった母親に比して背筋の伸びた青年は腰に短剣を帯びているようで海軍の一種軍装を身に着けた軍人のようです。画面に差し掛かる松は「待つ」を意味しておそらくは子の出征に際してその無事帰還を祈願して奉納されたものでしょうか。画像の通り色褪せ、また一枚板の割れなどありますが全体にはいい保存状態です。

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